高校におけるeスポーツについて

  • 学校法人早稲田学園わせがく高等学校
  • eスポーツは、人生を豊かにしてくれる。

  • 「高校eスポーツ部支援プログラム」を活用し、ゲーミングPCを導入した県内の3校。普段の活動内容と、なぜeスポーツ部を創設することになったのかを、学校法人早稲田学園わせがく高等学校の教頭・丸山昌利先生に聞きました。

「わせがく」はどんな学校ですか?

教頭の丸山昌利先生

丸山 千葉県多古本校を中心に1都3県の12キャンパスに拠点をもつ通信制・単位制の学校です。在籍する生徒数は1600名ほどで、10代後半〜20代後半の子たちが多いです。毎日学校に来てもらう通学型のスタイルなので、通信制でありながら学校生活が存在します。

eスポーツ部の立ち上げの経緯を教えてください。

丸山 ドローン部をつくろうというアイディアがまず先にありました。情報・プログラミングの授業中に思い立ち、生徒たちと一緒にドローン部を立ち上げたんです。ちょうどその頃、2019年の茨城国体にeスポーツが文化プログラムとして競技に加わっていることを知り、本校でも「eスポーツ部」をつくってみようと。前橋と稲毛海岸の2つのキャンパスで同年6月頃に立ち上がり、その後、古賀キャンパスや太田キャンパスにも広がっていきました。

人気の部活になっているそうですね・・・!

和気あいあいとした雰囲気の部活動

丸山 eスポーツ部は26人。生徒同士が誘い合って男女関係なく部員が増え続け、校内の一大勢力になっています(笑)。兼部している子も多いですね。  コースとしてeスポーツを推進する学校も増えてきましたが、高校の時点でそこまで進路を絞り込むことは考えていません。もし部活で体験してフィットした場合には進路設計に組み込んでいけばいいし、部活であればeスポーツだけにとらわれる必要もない。本校ではそうした考え方のもと、教育活動の一貫・部活の位置づけとしてeスポーツ部を運営しています。

部の活動内容や方針についても教えてください。

鮮やかな指使いの部員たち

丸山 週5回、15時〜16時半くらいの中で活動しています。兼部している子を含めて、部員は多数ですがPCは5台しかないので、日替わりメニューのように生徒たちが入れ替わってやっています。部活動は自宅などからオンラインで参加するのではなく、基本的に活動場所は部室としています。部員同士声を掛け合って、コミュニケーションを取りながらやっていこうと生徒と話しています。  また、たとえば「野球部に入って甲子園に出る!」というより、楽しく過ごすための課外活動という位置付けで活動しているのも特徴です。物足りない子はそれぞれ家でもできるので、部活の場では、顔を顔とを合わせられるリアルの居場所をつくることに重きを置いています。

立ち上げたことによる変化は何かありましたか?

和気あいあいとした雰囲気の部活動

丸山 eスポーツやゲームに対する大人たちの受け止めが想像以上に変わりましたね。最初は、賛同者を得るのが難しかったんですよ。「学校の中でゲームなんてやっていいの?」と。ですが、いざ立ち上げてみると、プラスになる面があるということを他の先生たちや親御さんも分かってくれるようになりました。生徒たちが楽しそうにワイワイガヤガヤやっているのを見たり、実際に家族間での会話が増えたり、実感できる変化が誰から見てもあったのでしょう。  今ではパンフレットにも載っているので、親御さんとの話題でもよく挙がります。ちなみに、eスポーツ部がきっかけで学校生活が崩れてしまったという生徒はまだ誰も出ていません。

eスポーツ部の今後に期待することは?

丸山 毎年恒例で唯一全キャンパス共通で開催してきた体育祭が、感染症感染拡大の影響でできなくなってしまいました。そこで活躍したのもeスポーツでした。体力差も関係なくなり、誰でも主役になれます。開催には経費もものすごく掛かってしまいましたが、校長の強い後押しもあり実現。渋谷のeスポーツスタジオを中心にして一体感が生まれました。今後も根付いていくことに期待しています。  それともう一つ。今の時代は一人一台スマホを持っていて、お父さんもお母さんも子どももそれぞれがスマホゲームに夢中になることで会話が全くない。そんなシーンもかなり生まれてしまっているでしょう。ですので、本校の生徒たちにはいつも「家族でも一緒にやろうよ」と話しています。家庭内でゲーム大会をやってみるのもいいですよね。昔、家族で同じテレビ番組を見ていたように、一家団欒の時間をeスポーツでつくるのもいい楽しみ方だと思っています。  
 みんなで遊べるゲームは古い時代にもありました。石を並べて置いたり、貝殻と貝殻を合わせたり。遊びは、人生を豊かにしていたんですよね。今、それがeスポーツという新しいカタチのゲームに変わったわけで、これからより広まって、人々を豊かにしていくといいなと思います。

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